仙台からの帰り、那須に寄って遊んできました。
たまたま近くを通って、温泉の湯畑みたーい!と思ったので車を降りて行ってみた殺生石。
ストーリーが盛りだくさんで勉強になったのでブログに書いておきたくなりました。
▼場所はここらへんです。
↓ 拡大
▼那須温泉神社のすぐ北にあります。
殺生石
▼この道を歩いていった先にあります。曇り空がまた輪をかけて不気味。
▼これです。
車を降りた場所では何も感じなかったのに、この岩の前までくると硫黄の匂いがすごくします。
ここで出会ったボランティアのガイドさんが、色々詳しく教えてくださいました。
昔、化学が発達していなかった頃、人々はこの岩の近くに来た動物たちがバタバタ死んでしまうのを見て、この岩が力をもって殺しているに違いないと思い、「殺生石」と名付けたそうです。本当は岩は関係なく、地面から硫酸が出ているのが原因です。
実際、上の写真の中にはハクビシンと(おそらくそれを追いかけていた)狐が亡くなっているのが小さく写っています…。
それをカラスが食べて、そのカラスが硫酸で死んでしまって、猫がそのカラスを狙って近づいてまた死んでしまって…と悲しい連鎖が起きてしまうので、ボランティアさんたちが見つけ次第お片付けをしてくださっているそうです…。
ボランティアさんが場所がわかるように目印として赤茶色の岩を近くに置いています。
なんとも悲しくて果てしないお仕事。ボランティアさんたちがいてくださることに感謝です。
風が吹いていない日は下の方に硫黄がたまっている(硫酸H2SO4は分子量重いですからね!)ので、犬などのペットや小さいお子さんを連れている方は長くとどまらないように注意してください、とのことでした。
狐伝説
殺生石にはこんな伝説も残っています。
平安初期の鳥羽帝の時代。
インド、中国を荒らしまわった九尾の狐が、日本に渡ってきました。
「玉藻の前」という美女に化けて帝の寵愛を受けるようになりました。
玉藻の前(九尾の狐)が帝の命を奪い、日本を我がものにしようとしていた頃、陰陽師の安倍泰成によって正体を見破られました。
玉藻の前は白面金毛九尾の狐の姿になって、那須野が原へ逃げ込んできました。
これを知った朝廷は、2人の家来に命じ、九尾の狐を退治させました。
狐は死んで巨石となり、その怨念は毒気となって近く人や家畜、鳥獣を殺し続けました。
室町時代になって、これを伝え聞いた和尚がこの地を訪ね、石に一喝すると、石は3つに割れ、1つは会津へ、1つは備前へと飛んで行き、残った1つがこの那須にある殺生石であると伝えられているそうです。
このお話は江戸時代には歌舞伎など演劇の題材として使われることもあったそうです。
1689年には松尾芭蕉がおくのほそ道で湯本を訪れたのも、殺生石を見るためでした。
出典:殺生石にあった看板▼
源泉
化粧水顔負けのお水
殺生石の近くを流れているこのお水。硫黄がたくさん含まれているので飲んではいけません。
が、温泉以上にお肌がすべすべになるとのことで、地元の方に人気だそうです。
実際手につけてみましたがつけていない方の手と比べたら本当につるすべになりました。すごい即効力!
これは内緒のお話ですが、ペットボトルに入れて持ち帰る方もいるとか。常温で2~3ヶ月、冷蔵庫に入れたら4~5ヶ月もつそうです。(私も持ち帰ればよかった!←)
夏は汗疹対策、冬は赤切れ対策にもなるそうです。
天然の化粧水ですね。
硬貨がツルピカに!?
このお水と、下の土に硬貨をつけてこすると、コインがピカピカになるそうです。
▼ボランティアのガイドさんが見せてくださいました。
▼おおおつるぴかー★お子さんの自由研究にいいね〜と話していました。
化学式どうだったっけなぁと懐かしくなって思い出していましたよ。
これかしら?
銅が酸化する(10円玉が錆びる) 2Cu + O2 → 2CuO
酸化銅の還元(10円玉が硫酸と合わさって綺麗になる) CuO + H2SO4 → CuSO4 + H2O
お酢など酸性のものと一緒に洗っても綺麗になりますね!
お酢の場合の化学式は▼
Cu2O + 2CH3COOH → Cu(CH3COO)2 + Cu + H2O
復習でした。
お地蔵様
▼遠くから見たら無数のお花かと思っていたらお地蔵さんでした。
▼近くの川の氾濫で亡くなった方のために作られたお地蔵さん。
背中にはそれぞれ名前が彫られているそうです。帽子は家族の方が被せたもの。
現役の彫り師の方がおひとりいらっしゃるそうです。
▼お供えしたお金が硫酸+雨でこうなってしまうそうです。
▼お地蔵さんの手や頭の上が黒いのも、お金が溶けた跡です。
▼この地面の黒さも、お金が溶けた後。
ボランティアガイドさんのおかげで、素通りしかけた殺生石のお話をたくさん聞けて、
すごく印象に残りました。
話だけ聞くとちょっと不気味だなと思ってしまうかもしれないけれど、
行ってみて良かったです。
おまけ
▼近くにある那須どうぶつ王国、お子さんがいる場合はもちろん、オトナだけでも十分楽しめましたよ。おすすめ!
▼東京から那須方面に車で行くなら、サービスエリア内にあるホテル、ファミリーロッジ旅籠屋が安くて便利です。
那須お立ち寄りの際はぜひ。
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