動画アプリ腾讯に、《妖猫传》 (日本語タイトルは「空海 – KU KAI – 美しき王妃の謎」)があったので、見てみました。
動画アプリ腾讯についての記事はこちら▼
※日本からは見られません。
映画《妖猫传》
原作は夢枕獏の小説 『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』。
監督はカンヌ国際映画祭パルム・ドールやゴールデングローブ賞など多数の受賞歴を誇るチェン・カイコー。
日中協同製作の映画です。
主演
●染谷将太…空海役
→中国語版の中国語音声は杨天翔。日本語版では染谷くんの中国語が聞けるそう。
●黄轩…白楽天(後の白居易)役
→《芈月传》で切ない思いをした黄歇役をしていた役者さん。
その他、张雨绮,秦昊,刘昊然(《琅琊榜之风起长林》の平旌役!),阿部寛,松坂慶子なども出演。
放映時期と興行収入
中国
中国では2017年12月22日〜2018年1月20日まで放映。
初日には7,425万元=1億2,600万円、2日目は8,735万元=1億4,700万円の興行収入を叩き出しました。
c.f.)2016年12月「君の名は」初日は7,637万元。
累計だと5.77億元=97億円!
日本
日本では2018年2月24日(日本語音声)から今も放映されています。3月24日から中国語音声の放映も始まりました。2月24日、25日の2日間の興行収入は合計約2億8,300万円。
中国は初日、翌日の合計2億7,300万円なので金額でいうと日本の方が上だけど、中国の映画チケットの金額は日本の3分の1ほどなので人数は中国の方が多い計算。
まだ日本で放映されている映画を自宅でしかも合法で見られちゃうって、なんとも不思議な時代。
あらすじ
映画の公式HPからの引用です▼
1200年以上前、日本から遣唐使として中国・唐へ渡った若き天才僧侶・空海。
あるきっかけで知り合った白楽天という詩人(のちの白居易)との交流を深めていく中、世界最大の都・長安の街は、権力者が次々と奇妙な死を遂げるという、王朝を震撼させる怪事件に見舞われる。空海は、白楽天とともに一連の事件を探るのだが、約50年前に同じく唐に渡った、鍵を握るもう一人の日本人・阿倍仲麻呂の存在を知る。
仲麻呂が仕えた玄宗皇帝の時代、そこには国中を狂わせた絶世の美女、楊貴妃がいた。
極楽の宴、妖猫の呪い、楊貴妃の真実、歴史を揺るがす巨大な「謎」――。
楊貴妃の命を案じた阿倍仲麻呂は何を知っていたのか…?
空海と白楽天、二人が辿り着いた真実とは…?海を渡った若き天才僧侶・空海と、中国が生んだ稀代の詩人・白楽天。
二人はやがて、歴史に隠された哀しき運命と対峙することとなるー。史上空前の超天才 空海が、歴史を変える奇跡を起こす――
引用:映画「空海 -KU-KAI-美しき王妃の謎」公式サイト
映画を見た感想
※以下、ネタバレ注意です!まだ見てない方は読まないでくださいませー。
中国っぽい構成
夫と一緒に見たのだけど、夫は最初の40分でギブアップしました(笑)
中国語で時代劇を見慣れていないと難しい単語が多いのと、ストーリー展開も最初の方はわかりづらかったです。半分くらいまで見て我慢すると理解できてきます。(結局後半一人で見ました。笑)
これ、中国ドラマあるある!きっと製作は中国サイドがメインだったんだろうなぁと容易に想像がつく構成でございました。
歴史を勉強してから見るべし!
この映画をちゃんと理解するには、楊貴妃の歴史、関連人物を知っておいた方が良いです。
私は以前楊貴妃の映画《王朝的女人 杨贵妃》を見た時に誰が誰だかよくわからなくなって一度止めて、歴史を調べたことがあったので、基礎知識が頭に入っていて今回理解できました。(楊貴妃まわりの話ってもしかして常識?)
おおもとの話がわからないと、実はこうだった(かもしれない)んだよ〜と言われても面白さ半減してしまいます。
現実離れした描写
現実離れしたイリュージョン、きらびやかな舞台。
《王朝的女人 杨贵妃》を見た時にも感じましたが、うそやーん、みたいな風景描写もあるので、免疫がないと何これ…で終わってしまいそう。
だけれども、やっぱり当時の唐はシルクロードによってとんでもなく栄えていたわけで、小さな日本からしたらもうそれは別次元の世界だったんだろうなぁと想像がつきます。それゆえの、この描写、なら、そんなに違和感なく見られます。
主人公を誰と想定して見るか
誰のお話だと思って映画を見るかで、違った感想を持つと思います。
日本語のタイトルが「空海」なので、日本人 空海のお話を期待してしまうとあれなんか違う、となってしまいそう。実際日本では思ったのと違った、という声が多かったそうです。
中国タイトルは《妖猫传》と猫なので、私はそこまで違和感がありませんでした。個人的には、猫(の正体)と楊貴妃の関係がうまく言語化できなかったのもあって、私は完全に楊貴妃に感情移入しておりました。だから私にとってはこれは楊貴妃のお話。
日本と中国の深い関わり
空海と白居易、阿倍仲麻呂と楊貴妃が本当に関わりがあったかはわからないけれど(楊貴妃はたぶんないと思う)、もう1200年も前から中国と日本はこんなにも深い関わりがあったんだなぁと思うと、なんだか感慨深かったです。
まだインターネットもスマホも飛行機もない時代に中国に渡った阿倍仲麻呂、空海、本当にすごい。なんか…こんなに恵まれた時代に、「あぁもう中国わっかんないよー大変だよー」とか弱気になってる場合ちゃうで自分!と、勝手に励まされておりました(笑)どんな目線や!
歴史のおさらい
もっとストーリーを理解するために、史実を勉強しておきたい。
楊貴妃
この映画を見る時に知っておくべき人物
・玄宗(楊貴妃のだんな様になる皇帝)
・楊国忠(楊貴妃のいとこ)
・安禄山
・高力士
ここあたりはおさえておいた方が良さそうです。
詳細は以前書いた記事をどうぞ▼
空海
774年 生まれ
788年 平城京に上る
792年 18歳で京の大学寮に入り、大学では明経道を先行。
793年 19歳の頃大学の勉学に飽き足らず山林での修行を開始。
→24歳で儒教・道教・仏教の比較思想論でもある『聾瞽指帰』を著する。
804年 遣唐使として中国 唐に渡る。
805年 5月に密教の長安青龍寺の和尚を訪ね、師事する。
806年 越州に4ヶ月滞在し土木技術や薬学など学び、帰国
もともと20年の留学期間を2年で切り上げて帰国したので入京の許しを得るまで数年間太宰府に滞在。
その後天皇や政府のために仕える。
823年 太政官符により東寺を賜り、真言密教の道場とした
835年 満60歳で亡くなる。
以上、《妖猫传》「空海 – KU KAI – 美しき王妃の謎」を見た感想でした。
それでは今日はこの辺で!
再见ヽ('∀`○)ノ♡
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