中国の清の時代のドラマ《甄嬛传》を見ていて、
皇帝の妃たちを表す后宫(日本でいう大奥)のしきたりが興味深かったのでご紹介します。
清の時代は、1644年〜1912年。
思ったよりも最近でびっくりしました。(歴史オンチ)
※以下画像は全て乐视TVのキャプチャより。
后宫のしくみ
日本の将軍たちもそうだったけれど、中国皇帝の奥様もとにかくものすごい人数います。
その奥様方全体 后宫をまとめるのが皇帝の正室、皇后。
よく出てくる「皇后是 母仪天下 mŭ yí tiān xià」というのは、皇后は全ての民の母、という意味のセリフ。
后宫の中にはランクがあり、それぞれのランクに入れる人数が決まっています。
一番上が皇后、もちろん1人。
その下にくるのが
- 皇贵妃:1人
- 贵妃:2人
- 妃:4人
- 嫔:6人
- 贵人:規定数なし
- 常在:規定数なし
- 答应:規定数なし
それぞれのランクに属しているたくさんの女性たち。
ランクによってもらえるお金(银子)の量や着物、食品、日用品(冬に使う炭など)の質などが変わってきます。
上に行けばいくほど良い待遇。周りも自分の言うことを聞いてくれるようになります。
上の位になるには
・皇帝に気に入られること
・皇帝の子供を産むこと(子供が男の子ならさらに優待遇)
・子供が皇帝の次の跡取りである太子になること
ということで、后宫にいる女性たちは
いかに皇帝に気に入られるか、
いかに子を身籠もるか (他の妃が身ごもったらその子を殺す)、
いかに自分の子供を立派に育て太子にするか(子供がいなければ自分の息のかかった下の位の妃の子を養子にし太子に推す)、を、死に物狂いで考い、対策を打ちます。
それはそれは熾烈な戦いなのです。
后宫に入るにはオーディション?
皇帝の正室、側室になれるのは、親が権力者だったり、他国のお姫様だったりするわけだけれど、ランクが下の方の奥さまになると、选秀xuǎn xiùというシステムで、皇帝に気に入られたら后宫に入れます。
▼これは皇帝の息子の选秀。
こんな感じでずらっと女性が並ばされ、「好きな子を選びなさい」と言われるわけです。
今でいうオーディションみたい。
后宫会議
熾烈な戦いを繰り広げている后宫ですが、表向きはいたって仲良し。
頻繁に皇帝の正室、皇后の住む宮に集まって、ご挨拶とミーティングをします。
実際は恨み合っていたり、皇帝の寵愛を受けている妃の子どもをこっそり殺していたり…とドロドロですが、
表面上では「我々はひとつの家族だから」と、「姐姐」(お姉さん)「妹妹」(妹)と呼び合います。
そして目新しい宝物や貴重品を手に入れたら、それぞれ贈り物を贈ったりします。
皇后も、「できるだけ皇帝の子を産むように」(子嗣 zǐ sìを繋ぐように)、とミーティングでみんなに諭したり、
最近皇帝がある妃のところに行っていないと知れば皇帝に彼女のところに行くように言っておくね、と、妃たちのヘルプをしたりします。
皇帝が最近お気に入りの妃がいない、と知れば选秀 xuǎn xiù(新しい娘を選抜して后宫に迎え入れること)を促します。
もちろん皇后も好きでそうしているわけではなく、后宫をとりまとめる長として、役割として言わざるをえない部分があるとはいえ、だんな様に他の人と仲良くするようアドバイスするなんて…考えられない…。
夜の相手は札で選ぶ
皇帝が夜のお相手をする妃を決める時。
敬事房 jìng shì fáng と呼ばれる后宫のことを管理している部署の家来が、
妃の名前が書いてある札がのったお盆を持ってきます。
▲翻 fān 牌子 pái zi=札をひっくり返す
選んだ妃の札をひっくり返したら、その妃と夜をお供する、ということなのです。
そして敬事房の役人は、その妃に準備をするよう伝えに行きます。
直接口で言わないとはいえ、すごい仕組みだ…。
妃が皇帝の元へ行く方法
札をひっくり返されて選ばれた妃は、
裸になり…
布団で巻かれ…
↓
家来たちに持ち上げられ…
↓
運ばれ…
↓
運び込まれ…
↓
皇帝のいるベッドへ…
↓
ハロー
という流れ。
びっくりしすぎて巻き戻してキャプチャとったよね。
今まで見た秦の時代や唐の時代のドラマでは、今日はあの妃がいる○○宮殿へ行く!と宣言し、皇帝が自ら妃がいる宮殿に足を運んでいました。
こんな…裸で布団に包まれて運び込まれるなんてこと…なかった…
ということでちょっとショックを受けました。
なんだかモノみたいな扱いで、悲しかった。
そして、今日はあの子が皇帝に呼ばれたらしいよ、という情報は后宫中に伝わり、嫉妬の種になる、というわけ。
敬事房 jìng shì fángの人たちは誰が、月に何回皇帝に呼ばれたか、事細かにノートにメモっております。
あぁなんとすごい世界…。
夫を独り占めできて、自尊心を保つことができる、今の時代に、感謝しようと思いました。
清の時代の大奥の仕組みがよくわかる、『宮廷の諍い女』、面白いのでとってもおすすめ!
それでは今日はこの辺で!
再见ヽ('∀`○)ノ♡
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Comments
男性が、宮中に、入る時男性のものをなくして、取りいるという風習が、あるのでしょうか❔