10月に北京の故宮博物館に行って、慈禧太后(西太后)が住んでいた储秀宫を見て、悪女と言われる西太后のことを知りたくなって、ドラマ『蒼穹の昴』(そうきゅうのすばる)を見ました。
▼故宮博物館に行った時の私の妄想トリップはこちら↓
《蒼穹の昴》浅田次郎氏の小説をドラマ化
画像引用 :百度百科
原作は浅田次郎氏の長編小説。
小説が完成して10年以上経ってから、日中共同制作でテレビドラマ化されました。
日本では全25話、中国では28話。
日本、中国共に2010年から放送開始。
浙江省東陽市横店影視城に原寸大の紫禁城の壮大なセットが造られたそうです。
《蒼穹の昴》のあらすじ
Wikipediaから引用させていただきます。
舞台は光緒12年(1886年)から光緒25年(1899年)までの清朝末期。貧家の子、李春雲(春児)は糞拾いによって生計を立てていたが、貧しい家族のために自ら浄身し、宦官となって西太后の下に出仕する。一方、春児の義兄で同郷の梁文秀(史了)は、光緒12年の科挙を首席(状元)で合格し、翰林院で九品官人法の官僚階級を上り始める。
清朝の内部では、政治の実権を握っている西太后を戴く后党と、西太后を引退させて皇帝(光緒帝)の親政を実現しようとする帝党とに分かれ、激しく対立していた。后党と帝党の対立は、祖先からの清朝の伝統を守ろうとする保守派と、衰えた清朝を制度改革によって立て直そうとする革新派(変法派)の対立でもあった。両者の対立は、やがて西太后と皇帝の関係にも、深い溝を生んでゆく。
春児は西太后の寵を得てその側近として仕え、一方、文秀は皇帝を支える変法派若手官僚の中心となる。敵味方に分かれてしまった2人は、滅びゆく清朝の中で懸命に生きていく。
西太后役は日本人女優の田中裕子さん
西太后の役は、日本の女優田中裕子さんです。
「おしん」のヒットで中国でも大人気。
もちろん中国語なので全部吹き替えです。
演技はあえていうまでもなくもちろん上手なわけですが、
いかんせん口元の動きと吹き替えで聞こえてくるセリフが合っていないので違和感が…。
こんなにずれるなら正直なところ彼女でなくてもよかったんじゃないかなと思ってしまったよごめんなさい。
※画像引用:百度
そして他の役者さんも調べたら、中国人俳優さんたちもみんな音声は別人!
これは中国ドラマあるあるなのだけれど、やっぱり違和感すごかったー。
とにかく自然じゃない。
特に日本人役(元首相の伊藤博文、記者の岡圭之介、日本大使館の柴五郎)の声!
絶対そこらへんから日本人適当に連れてきたでしょ…って感じでセリフ棒読み!
(違ったらものっすごい失礼ですがこれが視聴者としての正直な感想。。)
日本で放送されたのはどんな感じだったんだろう。
西太后の史実
西太后は、⑨代目皇帝 咸丰帝の妃。
⑩代目皇帝の同治帝の生母です。
▼清朝の皇帝
画像引用:中国帝王(清朝) – Wikipedia
実の息子である同治帝(⑩)の即位に伴って皇太后になります。
咸丰帝(⑨)の正室であった慈安皇太后と区別するために、西太后と呼ばれました。(慈安皇太后は東太后)
西太后の実の息子である同治帝(⑩)の死後、妹の息子である光緒帝(⑪)を養子とし、垂帘听政を行い、引き続き太后として実質的な政権を握りました。
龙玉は一体何だったのか
清太祖が見つけた透明で固くて美しい玉、龙玉。
それ以来ずっと先祖を祀るお堂の中に大切に保管されていたが、乾隆帝の時代に行方をくらましてしまう。
龙玉を手にし、龙玉から何か反応を得るものが本物の皇帝である、という逸話を信じて西太后は龙玉を探し続けます。
古くから伝えられている唄、
“春去春来,云聚云散;至坚至脆,龙隐龙飞;玉兮石兮莫能测,得兮失兮莫奈何。”
から、「春云至 龙玉得」「春云(春儿の名前)が来れば、龙玉は手に入る」、というメッセージを見つけ
西太后は春儿のことを大切にします。
春儿のおかげでようやく見つけた龙玉。
しかしやっと西太后は大切なのは龙玉の存在ではないと気づくのです。
“龙玉它究竟是什么
龙玉が結局何なのかは
这得看你自己怎么想
自分がどう考えるかによる
无价的珍宝还是无用的石头
値段もつけられないくらいの宝なのか、ただの石ころなのか
它是什么
それがどっちなのかは
完全看你自己怎么想”
自分の考え方によって違う
画像引用:优酷
《蒼穹の昴》を見た感想
同じく中国三大悪女の一人である武則天のドラマを見た時は、実際は世の中で言われているような悪女ではなく、本人しかわからない事情や実はとても正義感が強くて優しい人だったという事実を知ることができて、武則天のことが大好きになったのだけれど、
《蒼穹之昴》では、結局あまり西太后のことを好きになれずに終わりました…。
もちろん彼女の苦悩も描かれていたわけだけれど、やっぱり権力を手放せなくて、息子(実際は甥)である光緒帝との関係は修復できずに終わります。
物語の描かれ方では、西太后とはまた別に、光緒帝の側近である梁文秀と、
その兄弟である西太后側近の春儿が主人公でもあるので、彼らに自己投影をするわけですが、
彼らにとっては敵方である西太后側の人間の悪事は明るみに出ることなく、もちろん裁かれず、そのままになっていることが、どうしても水戸黄門的なわかりやすい話が好きな私からすると後味悪くて気持ち悪かった。
西太后と光緒帝も結局わかり合うことができず、暗い気持ちで終わりました…。
現実世界では視聴率の高いドラマのように、必ずしも正義が勝って悪党が裁かれる、ハッピーエンド、というわけではないのである意味とっても現実的な話なのだけれど、だからこそ見ていて現実逃避できずに苦しかったなぁ。
《蒼穹之昴》を見る時に覚えておくといい中国語
名詞
●老佛爷 lǎo fó ye=西太后のこと
皇帝に対する呼び方ですが実質政権を握っていた彼女に対して呼ぶようになったようです。
●亲爸爸 qīn bà ba=光緒帝の西太后への呼び方
光緒帝は西太后の実の子ではないけれど、西太后の妹と、西太后の夫である咸丰帝の弟の間の子。
血の繋がった親戚であることを強調する亲qīn。
老佛爷と同様、自分のことを男性として呼ばれるのを好んだ西太后。
養子となった息子にも爸爸 bà ba(お父さん)と呼ばせます。
●万岁爷=光緒帝への呼び方。主に西太后側近の太监がよく使っていました。
それ以外の家臣たちはみんな「皇上」と呼んでいました。
●珍哥儿=光緒帝が寵愛していた珍妃に対する愛称
西太后もそうですが、尊敬している大事な女性に対して
男性と同じ呼び方をするのが清の後期に流行っていたのかしら?
動詞
●跪安 guì ān=「ご挨拶して去る」
●安置 ān zhì=「お休みになる」
その他は▼同じ清の時代のドラマ《甄嬛传》と一緒です。
「蒼穹の昴」の小説
ドラマよりも小説の方が良かった、と教えていただいたので、
小説読んでみようと思います。
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日本語版はこちらから見られます。
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